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反政府武装勢力(NSA)を集めての国際会議

2000年3月31日 ICBLプレスリリース

 反政府武装勢力(NSA)の代表、各国政府オブザーバー及び地雷禁止運動家たちは、 2000年3月24日、25日、ジュネーブで、国際人道法の専門家の参加も得て、NSAに地雷禁止を求める話し合いの手続きを始める為に会合を持った。

 「NSAに地雷禁止を求める会議」は、ICBLのNSA問題作業部会によって開催された。北アフリカからスーダン人民解放軍 (SPLA)、西アジアからクルド労働党(PKK)フィリピン・モロ・イスラム解放前線(MILF)及び革命プロレタリア軍(RPA)、西サハラ・ポリサリオ、ヨーロッパやラテンアメリカでの国内紛争に関わる関係者が一堂に会し、地雷禁止を更に普遍化させるステップが話し合われた。二日間にわたりこれら代表たちは、この先駆的会議において、様々な国の大使館職員とも接触した。

 現今の戦争において、多くのNSAは地雷を使用している。同時にこれらNSAはまた、第三者や彼等自身によって製造、売買、設置された地雷の犠牲者になっている。1997年のオタワ条約は、加盟国に対人地雷禁止を約束させたが、地雷問題の人道的解決にNSAを参加させる仕組みは作られなかった。会議の主催者−カナダ、コロンビア、フィリピン、スイス、イギリスおよびジンバブエからの、6つのNG0−は、NSAが、この無差別武器によって引き起こされる非人道的大量殺人を食い止めるカギを握ると信じ、武力紛争の全関係者に地雷の禁止を誓約させる必要性を認識した。

 ビルマの民族抵抗組織により使用された地雷の調査では、地雷製造中の犠牲者の割合が、ある勢力では80%強であり、他の武装勢力においては、犠牲者の約半分が味方の人間であることを示している。この会議の共催団体のひとつ、 PCBL(地雷禁止フィリピンキャンペーン)の、ミリアム・コーネル・フェレは、会議開催にあたり、「NSAは地雷の方程式の一部であるがゆえに参加しなければならない。彼らは問題の一部であり、かつ解決の一部なのである。」と訴えた。

 発言者たちは、地雷除去活動では、実際問題として地雷の埋設位置の確認から地雷除去までの一連の過程で、NSAの協力が重要であると述べた。罪なき命を救う運動・スーダンという、南スーダンの地雷除去組織は、スーダン人民解放軍(SPLA)の提供した地雷地図によって地雷を除去し、人々に2200万平方メートルの安全な土地を取り戻すことに成功した。ICBLの共同設立者で地雷除去活動家のRaeMcgrath氏は、他の経験に照らして、地雷除去の現場において、 NSA出身の兵員を含む地元民の協力の必要性を認めている。会議期間中、タリーバン、ポリサロ、スーダン人民解放軍(SPLA)、フィリピン・モロ・イスラム解放前線(MILF)、クルド労働党(PKK)及ぴRDF−フィリピン共産党の脱退派閥−のような武装勢力から、地雷に関する彼らの立場表明がなされた。現在解散したコソボ人民軍の元兵士が、世界中の全ての反政府運動に全ての地雷放棄を検討するように呼びかけている。

 国際人道法の専門家たちは、国際人道・人権法そして1997年オタワ条約に革新的な改訂をもたらして、NSAの片務的な宣言によって、彼らに条約上の義務を課すという方法の可能性を検討した。NSAを取りこんでいく他の方法には、行動規範の明確化、非地雷区域の設定、停戦及ぴ平和協定における地雷禁止条項の包含等が含まれている。スイス登録の国際NGOであるジュネーブコールは、いろいろな国々の幾つかの地雷廃絶キャンペーン団体の協力を得て、いくつかのNSAから地雷禁止の公約を受け取った。ジュネーブ当局が守護者となっているジュネーブコールは、NSAに自らの宣言に責任を持たせることを努めている。

 閉会にあたり、スーダン人民解放軍(SPLA)の指揮官は、政府、民間及ぴ他の武装勢力が直接顔を合わせて話し合った今回の経験が、人は皆同じであるという感情を強めたと述べた。「我々の中にあった恐れは消え去った。この会議は、この無差別武器によって引き起こされる苦痛を除去する世界的な運動への、非常に前向きな前進である。」

 ICBLのNSA作業部会は、以下の各国の地雷禁止キャンペーンによって構成されている。アフガニスタンCBL、オーストラリアCBL、コロンビアCBL、インドCBL、イタリアCBL、ケニアCBL、マイン・アクション・カナダ、ネパールCBL、パキスタンCBL、パレスティナCBL、フィリピンCBL、南アフリカCBL、スイスCBL、タイCBL、イギリス地雷ワーキンググループ、ジンバブエCBL

* ICBLのNSA作業部会の活動についての文献

(1) Summery Proceedings Engaging Non-State Actors in Mine Ban:A Pioneering Conference 6eneva, 24-25 March 2000

 今年3月のジュネーブ会議の議事録。NSAにも人道的な立場から対人地雷全面禁止条約を守ってもらおう、という画期的な会議だった。モロ族解放戦線を含む6つのNSA代表、その他の8つのNSAの支持者、ICBL関係者、それ以外のNGO、国際赤十字、ユニセフ、学者、地雷除去専門家、オブザーバーとして出席した10ヶ国の政府代表が一堂に会して始めて本音を語り合った。

(2) Complementary Process For Non-State Arms Actors Report from the Global Non-State Actor Working Group, May 2000 by Miriam Coronel Ferrer Philippine CBL, Aug 08, 2000

 NSA作業部会の構成、NSAに地雷禁止を求める国際法的な根拠理由、方法、現在の進行状況等

(3) NSA Working Group Brochure by Miriam Coronel Ferrer, Philippines CBL, Aug 20, 2000

 用語の解説。対人地雷とは?NSAとは?から始まり、ジュネーバ・コールとは?NSAデータベースとは?までの解説。2000年9月の第2回締約国会議で公表する直前の最終ドラフトとして作成されたもの。

* ICBL 業部会

URL http://www.icbl.org/wg/nsa

共同議長 Miriam Coronel Ferrer (Philippines CBL), Paul Hannon (Mine Action Canada)